お知らせ

広告セミナー「SDGsセミナー」を開催しました

2015年の国連サミットで採択された、2030年までの国際的な目標SDGs(持続可能な開発目標)。「誰一人取り残さない」を基本理念に、17のゴール、169のターゲット、232の指標を掲げ、達成すればより良い経済、社会、環境の好循環が生まれるとされている。今回の広告セミナー(主催/新潟広告協会、協力/地域創生プラットフォームSDGsにいがた)では、第一部に長岡技術科学大学教授・南口誠氏が登壇し「企業を元気に!~ボランティア視点だけではないSDGs実践法」をテーマに講演を、第二部では「SDGsから考えるビジネスの可能性」をテーマに南口氏とNPO法人Lily&Marry’S理事長・山田彩乃氏とのトークセッションを行った。

三条市立大学、藤次郎オープンファクトリー

第一部

マスメディアで頻繁に取り上げられるようになりここ最近認知度が高まっているSDGs。どちらかというと学生や行政の取り組みで民間企業は関係無いと思われがちだが、実は経団連もSDGsを推進しており、国際的な経済界の集まりダボス会議でも取り上げられている。2017年の会議ではSDGsに取り組むことで12兆ドルの経済効果と3億8,000万人分の雇用が創出できるという推計が発表されたことで、SDGsに対して真面目に取り組もうという企業が日本で増えたとも言われている。

今と昔を比較してみると、時代によって優先されることが変わるのでビジネスにとってもニーズが変わってくることが分かる。例えばモノづくりにおいて、以前は強度や技術や価格が重要だったが今は素材やデザイン、リサイクルや環境対策も考えて創ることが重要になっている。将来的にはSDGsを考えていない商品は売れないという可能性も出てくるのではないか。
南口氏は「SDGsを無視することでサプライチェーンから排除されたり、雇用が確保できない、金融機関から融資が得られない、不買運動に発展するなどの弊害が新潟県内の中小企業でも起きうる時代になってきている」と語った。SDGsは、企業が継続的に企業経営をしていく上で非常に重要であると経済団体も考えている。

また企業業績を伸ばしながらSDGsの達成に貢献している例として某製造業の企業の取り組みが紹介された。2014年、ある講演をきっかけに社長が残業ゼロ宣言をし、それを目指して働き方改革を進めた結果、2016年に月平均残業時間1.1時間を達成。これはSDGsのゴール8に該当する。またゴール5の男女共同参画についても積極的に女性管理職登用のための勉強会を開催、男性社員の育児休業率は100%を達成。有給休暇取得率は77%、1時間単位で有給がとれるなど柔軟な仕組みを構築し、社員が働きやすい環境となっている。
南口氏は「この企業は、経営者の発信、攻めのIT活用で各部署の創意工夫を促し、業務の属人化解消、生産性や仕事の効率が上がる設備の積極導入、外国人の登用、大学との共同研究、新技術を事業化しており、このような実践方法が目標達成に繋がっている」と語った。

三条市立大学、藤次郎オープンファクトリー

第二部

昨今SDGsでの環境活動や社会貢献活動に取り組むことで企業ブランド価値が上がり、企業に対する評価が高くなっている。SDGsというと環境活動、食品ロス、エネルギーが注目されていることもあり自社では取り組みにくいと感じている企業も多い。
また、ボランティア参加や費用が掛かるなど自分の身や会社の身を削るイメージが強く余力が無いと取り組むことが難しいと思う人も多い。

しかし実は何気なくしていることが結果的にSDGsへ繋がっていることが多々ある。某スーパーの取り組みでゴミの焼却費用を抑えるために始めたリサイクルが環境活動に貢献している例を南口氏は紹介した。

山田氏は「会社の中から、もしくは部署の中から良い循環ができる仕組みを考えていくのが大事」と語る。残業削減、育休産休制度の整備、会社の働き方改革をしていくことで社員の働きがいが生まれる、これはSDGsのゴール8に該当する。そして働きがいが生まれるとモチベーションが上がりそれが仕事に反映されて良い循環が生まれる。会社の評判も高くなり入社希望者も増え人手不足も解決する。このように自社の中で循環させることが結果として世界に繋がっていくのである。「この程度ならできるという範囲から取り組んでやってみる、それを継続していくことが大事だ」と語る。

キーワードは「何でもかんでも 誰でもどこでも」。
難しく捉えずSDGsの169のターゲットから取り組めることを見つけることもSDGsへの一歩である。