第59回 新潟広告協会
新潟広告賞入賞作品

新潟県内で制作された優れた広告作品を顕彰し、地域広告のレベル向上を図ろうと昭和34年に創設された「新潟広告賞」。59回目の今回は237点の応募がありました。2月10日の厳正な審査を経て、選ばれた入賞作品は以下の通りです。

応募総数237点の内訳 新聞広告部門      37
グラフィック部門    72
テレビCM部門     64
ラジオCM部門     36
インターネット部門   28
審査委員長弦間 一雄氏(大阪経済大学教授)
審査委員 石井 敬氏(クリエイティブディレクター)
小島 信洋氏(クリエイティブディレクター)
松永 由佳氏(フォトグラファー)
佐藤 明(新潟広告協会理事長)
講評

正直、難しい審査になった。近年はずっと増え続けてきたエントリー数も少しではあるが減少した。海外においても、国内においても、広告賞の審査は年々難しさを増していると聞く。広告の仕組みが複雑になっているからである。そんな中、今年も元気だったのはインターネット部門である。エントリー数も倍増した。しかし表現も効果も運用も多様で、同じ審査基準を当てはめることに苦労した。今年の審査テーマは「新潟ブランド、地元ブランドへの貢献」である。インターネット部門の中にも輝く作品がいくつかあった。ラジオCMにも面白いものがあった。グランプリ作品はインターネット部門にもエントリーされていた。しかし、テレビで観たい作品だと思った。テレビCMとして新潟の魅力を感じさせる表現になっていた。

グランプリ

新潟に来ました篇60秒

広告主全国農業協同組合連合会新潟県本部
制作社(株)東北新社
部門テレビ
コメント

オーソドックスな広告表現である。浅田真央さんはとても魅力的に描かれているし、新潟の田園風景と暮らす人々はとても微笑ましく、もちろん新潟米はすごく美味しそうである。この当たり前のことを奇をてらわずにオーソドックスに表現して強く印象に残す、それは決して簡単なクリエイティブではない。浅田真央さんが新潟と新潟米をすごく好きになったように、テレビで本作を観た人は浅田真央さんと新潟と新潟米を改めてさらに好きになったと思う。

新聞広告部門

優秀賞

吉乃川VISION

広告主吉乃川(株)
制作社ベース
コメント

社長や杜氏の表情ある顔と、一人ひとりの思いがあふれた文章、さらに酒造りの一コマ一コマの写真。蔵元がひとつになっての誠実な酒造りを表現した。新聞広告の特性を見事に生かし、その良さもアピールした。

奨励賞

469年分のありがとう。そして470年目の吉乃川

広告主吉乃川(株)
コメント

何よりも「469年分のありがとう」「そして、470年目の吉乃川へ」というコピーがいい。県内一の老舗の思いをてらいなく、いやみなく表現している。シンプルな構成だが、猪口や徳利が「笑顔」のようにも見えてくる。

シビレ、ルゥ編

広告主(株)シルバーホテル
コメント

「シビレ、ルゥ」という文字そのものが刺激的で食欲をかきたててくれるようだ。黒字に黄色を配し、さらにカレーの一皿だけという単純さが、その辛さと食欲をさらに引き立てる。映像に勝る表現力を示している逸品。

五泉ニット ブランドマーク発表

広告主五泉ニット工業協同組合
コメント

クライアントにふさわしくセンスあふれるスッキリした広告。ブランドマーク自体のセンスがいいが、それを素材として最大限に生かし切る手法が成功している。本当に「キレイなニットのシンボル」を表現した作品となっている。

つなぐ つなげる つながる

広告主新潟国際情報大学
コメント

大きな構図で新潟と世界の街をつなぐデザインがいい。左右の小さな学生の進路企業名も精読したくなる。新聞を生かした造りだ。大学と学生による「つなぐ」「つなげる」「つながる」をのコンセプトを鮮やかに表現している。

グラフィック部門

優秀賞

瑞花「米百俵」ブランドポスター

広告主(株)瑞花
制作社(株)ネオス
コメント

地元長岡で愛されていた銘菓の伝統と味を引き継いだ復刻商品のポスター。商品パッケージとの連動も図ったシンプルな構図は、商品の精神性もメッセージする力強いグラフィック。70年続いた味を守りたいという企業の愛情もしっかりと表現している。

奨励賞

移住定住/観光促進ポスター

広告主湯沢町企画政策課
コメント

何気ない日常の「驚き」や「喜び」のその一瞬を、強い写真構図とキャッチコピーで見事に表現できている。12枚のシリーズポスターにすることで、湯沢町に散在する独自の魅力を発見する喜びや気づきを見る者に訴求している秀逸なポスター。

「香る、久保田」A2ポスター

広告主朝日酒造(株)
コメント

香りや味のキレの良さを、文字の箔押し印刷で表現したユニークなポスター。香りや味の印象を文字だけで表現するという印刷表現でのチャレンジは、磨き続けてきた伝統の味を少しでもよりよく進化させたいという企業姿勢そのものを感じさせてくれる。

古志の火まつりポスター

広告主古志の火まつり実行委員会
コメント

古くから地元で伝わる祭りの、毎年恒例の難しいテーマに対し、写真ではなくイラストで表現した視点はデザイナーの創作への想いがよく表れている。少し謎めいた雰囲気で神事の幻想的な風景、雰囲気をイラストで上手く表現している点に票は集まった。

テレビCM部門

優秀賞

現美新幹線 四季の新潟編

広告主東日本旅客鉄道(株)新潟支社
制作社(株)ジェイアール東日本企画新潟支店・(株)SunnyRain
コメント

シンプルなワンシーンCMに仕立てられているが、冬、春、夏、秋と四季を映す田園地帯の変化が美しい。その中を優雅に疾走するカラフルな車両が一際目を引いた。

奨励賞

新潟の新しいお米 新之助

広告主新潟県
コメント

瑞々しいタレントと、新之助のパッケージテイストを踏襲した空間・コスチュームで期待感・登場感に、優美さを醸し出してる。

行こーか、工科大!第1話、第2話15秒

広告主新潟工科大学
コメント

ターゲットである3人の高校生のキャラクター設定が秀逸だ。三様の個性を通して繰り広げられる物語には、「興味」というキーワードが満載である。

ラジオCM部門

優秀賞

本当にあるホテル篇

広告主(株)新潟第一ホテル
制作社(株)コム
コメント

怖い話でお馴染みのタレントの語りを想起させるラジオCM。オチは分かっているのに、つい笑ってしまう。伝えたい事を簡潔に表現しており、しかも印象に残る作品であると満場一致での優秀賞となった。

奨励賞

最後の晴れ舞台

広告主(株)山内葬祭
コメント

暗くなりがちな葬儀の広告を、外しすぎる事なく適度にユーモラスに仕上げたバランスが良い。軽快なノリで進みながら、最後の結びでホロッとさせてしまう流れも好感度の高さに繋がっている。

なんて読むの?

広告主石本酒造(株)
コメント

昨年は、そのパッケージの新鮮さで話題になった日本酒のラジオCM版。商品名のちょっと難しい読み方を、夫婦の会話に盛り込んだラジオCMならではの作品で、パッケージの上品なイメージを保ちながらの男女の会話が心地良い。

インターネット部門

優秀賞


移住定住促進 How to Live in YUZAWA. in green season/in white season

広告主湯沢町企画政策課
制作社(株)新潟博報堂、TCJ
URLhttp://livelife.town.yuzawa.lg.jp/family/family.html
コメント

地域PR動画には再生数を増やそうと表現が過剰なものが多く見られるが、本作はユーモアと真面目なメッセージとが見事に制御されている。またgreen season篇とwhite season篇とを対句的なシリーズ作品としていることにもアイデアがあると評価した。

奨励賞

雨ニモマケズ

広告主(株)新潟テレビ21
URLhttps://youtu.be/01I5RE0iYYA
コメント

入社3年目の大西遥香アナを主人公にした就活PVである。彼女の仕事と新潟に対する熱い思いをラップに乗せて、彼女の日常をテンポよく繋いだ映像に重ねた作品。わざと手作り感を出した仕上げがネット動画としての好感度を上げている。

SADO METAL

広告主佐渡観光協会
URLhttps://youtu.be/Vl4zSiD9n-c
コメント

佐渡と言えば金山、金と言えばメタル。この発想から佐渡島のPR動画のために、冠徹弥をヴォーカルに本格的なヘヴィメタルバンド「SADO METAL」を結成させた仕掛けを評価したい。佐渡の名所と名物が次々にシャウトされていく。

現美新幹線製造過程ドキュメント

広告主東日本旅客鉄道(株)新潟支社
コメント

アートは制作過程も含めてアートなのだということを改めて感じさせる作品。新幹線という既に現代美術性が高いものに、さらに内装にも外装にも現代美術を施していく。このアートプロジェクトのメイキング映像がまた美しい。