第63回 新潟広告協会
新潟広告賞入賞作品

新潟県内で制作された優れた広告作品を顕彰し、地域広告のレベル向上を図ろうと昭和34年に創設された「新潟広告賞」。63回目の今回は229点の応募がありました。2月5日の厳正な審査を経て、選ばれた入賞作品は以下の通りです。

応募数 新聞広告部門      28点
グラフィック広告部門  45点
テレビCM部門     60点
ラジオCM部門     36点
Web・映像部門    60点
審査員長 福井 崇人氏(金沢美術工芸大学客員教授・クリエイティブディレクター)
審査員 比留川 勇氏(フォトグラファー)
渡辺 奈美子氏(アートディレクター、デザイナー)
迫 一成氏(グラフィックデザイナー)
佐藤 明(新潟広告協会理事長)
講評

2021年度審査方針は、「広告の力で、ウィズ、アフターコロナにおいてピンチをチャンスと捉えて固定概念を破る」である。挑戦している広告主や制作者の底力や熱量、行動力、勇気に着目した。応募数は、WEB/映像部門が昨年に続き5部門中最多となった。
新聞広告の応募数は減少したが、広告表現ではインパクトを与えた。

グランプリの新聞広告「恩師への手紙」は、全国的に話題になった。
個人からの語りかけになっていて、従来の組織からのメッセージという固定概念を破った。媒体が中央紙であれば、予算や考査などから実現できなかった可能性がある。ここでしか、このタイミングでしかできない企画である。個人からのメッセージは人をほっこりさせるなど、もしかして、土の時代の「組織」から、風の時代の「個人」に時代の価値観がシフトした事例だ。

グラフィック部門とWEB/映像部門のダブル優秀賞を獲得したのは、糸魚川市「石のかおをつくろう」キャンペーンである。伝えたいことが山のようにあり、広告表現がまるで幕内弁当のようになって、結果印象に残らないことが多いが、「石」の一点突破で見ていて気持ちいい。糸魚川市民にとって、ありふれた「石」の多様さや美しさを再発見できたことが成功のポイントである。
媒体や広告主などの中で眠っている資産を掘り起こし、見たことないビジュアルを作ることでインパクトを出し、人を巻き込んでいく。コミュニケーションデザインの良いお手本だ。



審査員長 福井崇人(クリエーティブディレクター/金沢美術工芸大学客員教授)

グランプリ

「恩師への手紙」
広告主 畑山 雅俊
制作社 (株)Birdman
部門 新聞
コメント

個人が広告主の全15段広告。これだけでも度肝を抜かれるが、恩師の背景を活かし、慕われる人柄もうかがえるユニークで素晴らしい表現。新聞というメディアを通して、ただ一人に向けた体だからこそ心に刺さり、寄り添い、元気を与えている。見た人がそれぞれの会いたい人を思い浮かべ、温かい気持ちになっただろう。どんな状況や立場にあっても、思いとアイディアで人の心を打つことができる。世界を切り開くことができる。 この作品は、この状況におかれている全ての人に向けたエールだ。

新聞広告部門

優秀賞

「佐渡島の金山」世界遺産登録推進キャンペーン SADOプライド
広告主 新潟県佐渡地域振興局ほか60社
制作社 (株)セッサ/(株)新潟日報社
コメント

佐渡の伝統文化に触れ、表現する子供達の姿から土地に息づいてきたものと、それを未来へ繋げていこうとする地域の意志が伝わる。様々な層にアプローチする骨太のキャンペーンで、世界遺産登録に向け、県民の意識を鼓舞している。

奨励賞

これなんだ、これなんだ。
広告主 (株)シルバーホテル
コメント

目に飛び込んでくる、いたずら書きのような不思議な線。思わずこちらも、「これなんだ?」と惹きこまれ、そのエピソードに唸る。読後の余韻と添えられたメッセージから伝わるホテルの姿勢が企業イメージを高めている。

新潟県ヤクルト川柳
広告主 新潟県ヤクルトグループ
コメント

広告の色合い、ミニマルさと、ヤクルトの手軽さ、かわいらしさがマッチしている。それぞれの視点からユニークな作品がそろう川柳は、記事の合間にほのぼの読める。家族みんなに愛されるヤクルトをうまくアピールしている。

新潟と、未来へ。
広告主 (株)INPEX
コメント

雄大な自然の中に佇む天然ガスプラントの風景は、自然と、環境にやさしい人工物が共生するこれからの社会の姿を創造させる。新鮮で力強いビジュアルに企業のエネルギーを感じPRに成功している。満天の星空に佇むプラントが抜群に美しい。

グラフィック広告部門

優秀賞

石のかおをつくろう
広告主 糸魚川市
制作社 (株)電通東日本新潟支社/(株)プラグ
コメント

初めて見た時にこれはなんだ?と引き込まれた。キャラの設定も上手く糸魚川を表現しており、日常生活で普段は見過ごしている様々な石を使って楽しく見せるアイデアが秀逸である。

奨励賞

怪奇ミステリー/実録!ゾンビ集団の恐怖、新潟に現れた超古代生物、客室から繋がる異空間への扉
広告主 (株)新潟第一ホテル
コメント

ホテルの広告としては異例の表現方法だが、動画との連動でここまでやるか!と振り切っている姿勢に対して評価する。この企画にOKを出したクライアントの勇気にも。

Maxのありがとう いっぱいの思い出と感動を未来に/Maxをありがとう 20年間、沢山の想いと感謝を胸に/ありがとうMax
広告主 東日本旅客鉄道(株)新潟支社
コメント

普段は意識することなく利用している新幹線の終わりを丁寧に告知するポスターは、綺麗な仕上がりと共に今までありがとうの気持ちを喚起させてくれる。とても上質な仕上がりの作品である。

「この国のちから この国のごはん」新潟米コシヒカリポスター
広告主 長岡市産米 JA販売促進協議会(JA越後ながおか・JA越後さんとう・JAにいがた南蒲・JA柏崎)
コメント

黒地に浮かび上がる器に盛られた白いご飯と、四季折々の風景が見る者の心に印象を残す作品である。中央に置かれた存在感のある白抜きのコメのロゴもとても力強く効果的な配置である。

佐渡島PR「想い出を、何度でも。佐渡島」
広告主 新潟県観光局観光企画課
コメント

イベント用のフライヤーを折り紙にして使うアイデアがとても良い。展示されている多種フライヤーの中で、完成された折り紙の可愛い鬼が置いてあるだけで目を引き、間違いなく手に取らせるだろう。

冷やして待ってるよ。
広告主 (有)ヤスダヨーグルト
コメント

優しいタッチのイラストで、見る人に安らぎを与える作品である。コロナ禍の中、会えない人を思い待っているよという優しい気持ちとヨーグルトというソフトな商品イメージとが合致しているので良い。

テレビCM部門

奨励賞


E4Maxラストラン JR篇/E4Maxラストラン 思い出篇
広告主 東日本旅客鉄道(株)新潟支社
コメント

Max のラストランの広告キャンペーンを見ることで、人は自分の人生の出来事を思い出す。2階の席が思い出の印象に残り、人の夢や想いを乗せて走ってくれたMaxに感謝。

ブランディング 企業告知 地元のプロを応援しよう。
広告主 (株)コメリ
コメント

コロナ禍で巣篭もりする中、地元のライフラインとして地域を支える企業姿勢がヒューマンタッチの表現で共感や信頼や愛着を獲得している。

新潟直送計画「ブランドCM」
広告主 (株)クーネルワーク
コメント

Uターンと新潟産品を作り手から全国へ直送する2つの良さを伝えている。CMの表現で、生産者、贈り手、受け手の3者の「つながり」の表現が、ブランド力を高めている。 ウェブマーケティング会社が産地直送サービスしているなど、会社の強みを生かして、社会課題解決のために挑戦している。

コロナ エアコン「私は、」篇
広告主 (株)コロナ
コメント

CORONAエアコン「ReLaLa」が製造されている新潟県三条市内で撮影され、ものづくりの街・三条で生まれたエアコンであることや、「快適を届けたい」というものづくりへの想いを伝える内容となっている。「ReLaLa」が人や暮らしに寄り添うエアコンであることを表現である。



夢の先篇 線路/建築/土木
広告主 第一建設工業(株)
コメント

子供の頃の夢の形が変わったが、仕事に誇りを持って取り組んでいる若い社員たちの熱量をアニメで親近感を出している。このコマーシャルがきっかけで就職を希望する学生が期待できる。

ラジオCM部門

優秀賞


繋ぎの名手藤田君/乗り換え案内
広告主 藤田金屬(株)
制作社 (株)新潟放送
コメント

「鉄の総合商社」を掲げる企業。鉄を仕入れ、加工し、必要とする現場に供給する。鉄のつなぎ役、さばき役という役割を、野球、鉄道のイメージで見事に伝えた。BtoB企業の本質を表現するのは難しい。それを音声だけで的確に強くアピールした。

奨励賞

むかしむかし
広告主 (株)レントオール新潟
コメント

「むかしむかし、あるところに…」という昔話の常套の出だしを、いきなり逆転の発想で、「なかったとさ」とする「つかみ」が鮮やか。そして「この会社がなかったら、どうしていたのだろう」と、企業の存在意義をテンポ良く伝えた。

FM-NIIGATA交通安全キャンペーン早めにライトオン2021「ぼくからの手紙」篇
広告主 (株)エフエムラジオ新潟
コメント

交通安全キャンペーンは紋切り型になりがち。さらに子供の朗読を使うのもよくある手法だ。しかし、それらを組み合わせながらも、誠実に丁寧につくれば、心をうつ作品に仕上がるという好例。少年の朗読がよかった。

SDGs篇
広告主 新潟県青少年健全育成県民会議
コメント

「健全育成会議」というお堅い団体らしからぬ弾けた感じでのアピールがいい。そして「SDGs」についても徹底的に「おちゃらけ」と「ふざけ」のノリで表現しながらも、最後に方言も交え、力で締めた。テンポもよい。

web・映像広告部門

優秀賞

石のかおをつくろう
広告主 糸魚川市
制作社 (株)電通東日本新潟支社/(株)ピクス
コメント

子供から大人まで幅広い層の人が立ち止まって見てしまうデザインと音楽が実に心地よく洗練されている作品。主体が行政でありながらも石に特化しているのも潔くて良い。他部門との連動によるイメージの安定感も抜群だった。

奨励賞

怪奇ミステリー/生ける狂人篇
広告主 (株)新潟第一ホテル
コメント

審査員の中でも議論になった作品。驚きとエネルギーが感じられる「気になる」映像作品だった。ホテルと怪奇ミステリーというあまり結びつけたくないようなテーマで広告動画を作った度胸も評価したい。

丁寧を贈る、しあわせ。
広告主 (株)瑞花
コメント

「瑞花」のふわっとした「あの煎餅」ができるまでを穏やかに伝えている映像作品。米から餅になり薄く切り揚げられるまでの過程を見ることで丁寧な製造の現場を感じ、誰か大切な人に贈りたくなるような気持ちになった。

すべては、ひとづくりのために。
広告主 学校法人 新潟工科大学
コメント

無数の工具や道具が集合したり分解されたりして文字やイラストを表現する動きがとても気持ち良く「企業がつくったものづくり大学」というメッセージが伝わった。講師陣の専門性や誠実さも伝わる好感度の高い映像だ。

「誇りを胸に、頑張る人へ。新潟県産コシヒカリ」篇
広告主 新潟県農業協同組合中央会
コメント

ひたむきに米作りをする父と部活動を頑張る娘の姿を美しい映像と穏やかなナレーションで伝える映像。コロナ禍でも頑張る生産者と学生を応援している正統派のC Mが心地よかった。


佐渡島PR動画「鬼が滅んでいない島」篇/佐渡島PR動画「想い出を、何度でも。佐渡島」篇
広告主 新潟県観光局観光企画課
コメント

鬼太鼓を「鬼が滅んでいない島」というテーマで、若い女子旅を「美しい名所や体験」で構成した映画のよう映像が好印象。幼い頃に佐渡で男の子にもらった「鬼の折り紙」の想い出が2編を結び、実際にその紙を佐渡汽船で配布したのが素敵だ。

審査員長特別賞

グラフィック広告部門

web・映像広告部門

「#挑むは強さだ」
広告主 村上市教育委員会
コメント

平野歩夢選手しかできないトリプルコーク1440の大技を決め金メダルを取った。平野選手の目的は、もしかして、挑戦することで常識をくつがえして、新しい価値観や可能性を示すことで、世界を元気にして、人類を前進させることだ。その原点を作り上げたのが、村上市の教育である。